Neutral 〜ニュートラル

50歳のうめめだかが感じたことやオフタイムのこと、好きな物のこと、趣味etcについてひとりごつ。  SINCE 2005.7.12

1989年という年

1989年という年

1989年にベルリンの壁が崩壊して、今日ちょうど25年が経つ。

ベルリンに仕事で行くようになってから、すぐに覚えた1989年という年号。それまでの私といえば、「ベルリンの壁」がどこに張り巡らされていたかも知りませんでした。「ベルリンの壁」は西ベルリンの周りを取り囲んでいたと、当地ですでにモニュメントとして、金属の軌道になっている壁の痕(あと)をみて知ったのでした。

昨日の夕刊には現地時間7日夜、ドイツ紙ウェルトが主催する「ウェルト文学賞」を村上春樹氏がベルリン市内で受賞したことが書かれていました。現地での動画を探してみましたが見つからず、あくまでも新聞の抜粋ですが、村上さんのスピーチが掲載されています。

そのスピーチの中で、(日経新聞夕刊から引用)“今の世界には「民族、宗教、不寛容といった壁」があると指摘。(中略)自分たちを守るためにあるはずの壁は時には暴力的に他者を排除することになり、その典型がベルリンの壁だったと説明。「より良い、より自由な世界」の物語を語り続ける努力をすることが大切だと訴えた”

とあり、(読売新聞の夕刊の引用)“村上さんは「小説家にとっては壁は突き抜けなければならない障害」と指摘した”ともあり、“「このメッセージを香港の若者、今壁に立ち向かっている若者たちに贈りたい」”と締めくくったとされています。

私はこの2紙の小さな記事にズンと胸を打たれました。

日本人にとっては民族、宗教の壁は感じられない人が多くても、不寛容の壁というのはどこにでもあると自分に置き換えて、改めて感じたのでした。

私が村上さんの小説が好きなのは単なるストーリー性だけでなく、そんな思想を持ち続け、壁を打ち破ろうとしているところにあるんだと、気づかされました。

それにしても、あれから25年。いつも忘れられない年号。1989。