ちびりちびり、読んでました。
先日書きましたが、春江一也著の中欧三部作の『プラハの春』『ベルリンの秋』そして、最終となる『ウィーンの冬』をこの度、読みました。
かなり、時間がかかり、ちびりちびりですが…。samantaさんに約束していたこの感想を書かなくては、と思いつつ、先のばしになって遅くなってしまいました。
限られた時間の中でブログを書いているので、私の率直に感じたところだけ書こうと思います。
主人公で、外交官の堀江亮介が赴任している地で、起きた革命と彼の恋愛を中心として描かれた前二作。第一作目では、プラハの春の革命とカテリーナとの愛について、第二作ではペレストロイカの流れとともにベルリンの壁の崩壊、カテリーナの娘シルビアとの愛を中心に描かれていましたが、第三作目では、東西冷戦は終結した90年代に話が移ります。今回は恋愛話は全くと言っていいほど無縁で、特務でウィーンに行くことになった亮介はドイツにいる病気のシルビアに会うわけでもなく、電話でシルビアの死の知らせを聞くという、前作までを読んでいる私としては、あっさりしすぎで、それはないんじゃないかと思うほどです。
今回はあの忌まわしい日本で起きたカルト教の事件を下地に書かれていて、北朝鮮が話の中心にあがってきます。どこまでがフィクションなのかノンフィクションなのか、日本にいるからこそ、よくわからなくなります。
前二作は、私がよく知らなかった革命のことが書かれていたので、どれを読んでも新鮮で心を揺さ振られるような気持ちになりましたが、今回は正直なところ、そういうことはなかったです。
でも、ストーリー性は前作とかわらずスリリングで気になる展開だったと思います。
『課長島耕作』が社長になってもつい読みたくなってしまうように、堀江亮介も年をとっていき、その哀愁なんかもひっくるめて、読者としては目が離せないんですよね。
前二作を読んだ方には、これは同じ人が書いているのかと私のように若干疑う人もあるのではないでしょうか。それくらい、前作とは趣が違います。それと私的にはちょっと引っ掛かる国防についてタカ派的な考えが、亮介の言葉を借りて出てきます。官僚らしいなとちょっと思っちゃいます。
私の感想は率直ですが、偏りがあると思うので、文庫にもなってますし、借りたりして読んでくださいね。