Neutral 〜ニュートラル

50歳のうめめだかが感じたことやオフタイムのこと、好きな物のこと、趣味etcについてひとりごつ。  SINCE 2005.7.12

大人な映画

 ここのところ、TSUTAYA Discasで見たいDVDがあまりなかったので、1か月ほど休会していたのですが、見たいものが先日リリースされたので、また会員に戻りました。

Paris  さっそく借りたのは『パリ、恋人たちの2日間』と『ジェインオースティンの読書会』。二枚とも、とっても大人な映画でした。

 まずは『パリ、恋人たちの2日間』(あらすじはこちらで)は、映画『Before Sunset』『Before Sunrise』でイーサンホークと主演したジュリー・デルピーが監督・脚本・編集・音楽・出演というのも見どころ。女ウッディ・アレンというも聞かれる昨今の彼女。(ちなみに私はウッディ・アレンも大好き)

 ニューヨークに住んでいるフランス人の彼女とアメリカ人の彼がベネチアを旅した帰りにパリの彼女の実家に預けた猫を取りに寄るというシチュエーションで始まるこの映画。ロードムービー的な電車の風景から始まるのも感じがいいし、パリの風景もやっぱりいい。かしましく、皮肉屋で陽気な彼女の家族たち、変なとこに神経質なアメリカ人の彼、フランス人とアメリカ人というだけで、考え方違うんだろうなと思ってしまうけど、このカップルも御多分に洩れず、まったく違う考え方の持ち主。彼女の生まれ育ったパリに来て、かつての恋人やら男友達に会ったりして、いままで彼が直視してこなかった彼女の過去の、奔放な恋愛遍歴を目の当たりにして、衝突したりする二人。そんなストーリーなんだけど、なんだか映画そのものの空気感みたいなものがよかったです。ジュリーの脚本、主演らしく、会話もシチュエーションも音楽も実によく練り込まれたつくりになっていて、彼女の才能を感じさせます。

  私事ですが、先日暇潰し程度に読み始めた雨宮塔子さんの『金曜日のパリ』と『それからのパリ』で、簡単に言えば、成熟した大人社会のフランスについて読んだあとだったので、なおさらジュリーが演じる彼女のフランス人らしさを感じてしまって、クールだって思ってしまったんだと思います。まさに大人な映画です。 

Jein もう一つは『ジェインオースティンの読書会』(あらすじはこちらで)。ジェインオースティンの書いた6冊をそれぞれ担当しながら1ヶ月に1回ペースで読書会を行うことにした6人。

 離婚を繰り返す人、長年連れ添った夫に別れを告げられる人、友人の世話焼きばかりで自分はなかなか恋愛に踏み出せない人、レズビアン、生徒に恋してしまう高校教師という女性陣に、唯一の男性グリッグは女姉妹の中で育って、エコとSFを愛する青年。読書会とともにそれぞれの問題が進展していきます。

 ジェインオースティンの作品については会話の中にさらっと出てくる程度ですが、読書会の最終回のテーマになっている『説得』はこの映画の結末に重みを添え、伏線にもなる存在です。なので強いて言うなら『説得』の内容は知ってたほうがより楽しめるかもって、個人的には思いました。

 この映画で、私はグリッグ♂に注目しました。彼はエコを愛するだけあって、車には揚げ油を使い、主に移動は自転車。初対面の顔合わせに、サイクリストご用達のパールイズミのピタピタウェアを着てマイタンブラー持ってスタバにあらわれちゃうとこが、ちょっと場が読めてなくて、サイクリストらしさを醸し出してて(こんなことを書くのは、私が元サイクリストだからなんですが…)、まじめないい人なんだろうなと思わせてしまうキャラなんですよね。そういう、細かいところの設定も、最後の『説得』の話になぞらせた手紙だったり、説得によるハッピーエンドへの持ってき方も良かったです。だいたい読書会というのが大人の成熟した娯楽という感じでいいです。

 どちらの映画もたぶん万人受けではないけれど、私が愛する大人文化そのものって感じで、とても良かったです。