Neutral 〜ニュートラル

50歳のうめめだかが感じたことやオフタイムのこと、好きな物のこと、趣味etcについてひとりごつ。  SINCE 2005.7.12

誇り高き”あぽやん”

Apoyan_2  今年の春出版されたばかりの”あぽやん”を読みました。

 APO。旅行業界では空港のことをスリーレターでAPO(私たちはAPTともっぱら書き言葉で使ってたけど。)といい、そこで働く人たちを”あぽやん”というとこの本には書いてあります。

 私が勤めていた旅行会社は小さくて、空港業務は外注だったので、そういう言葉を使ったことはありませんが大手の旅行会社では空港業務を自社でまかなうところもあるので、そう使うのかもしれません。

<quotation> ツアーの出発点となる空港で、様々なトラブルを排し旅客を無事に送りだす空港のエキスパートを、賞賛を込めて呼んだのが始まりのようだ。

  社内での位置づけや、金を生み出さない現場軽視から、最近では閑職の意味合いが濃く、本社では使えないというような意味合いも含まれる悪い意味で使われるようになったようです。

 そんな”あぽやん”に、異動でなってしまった入社8年目の主人公遠藤君の奮闘と、少し恋バナを書いたお話で、なかなか面白いです。遠藤君の周りには、「笑って、笑って」が口癖で、いまいちだらしのない雰囲気の今泉、クールで口数少なめ、仕事以外に予定のなさそうな田波、元板前でお客様は家族だという堀之内、物静かでダンディーな住田所長、空港を彩り支える女性スタッフ。

 空港では、いろいろな問題が発生します。予約が落ちてたとか、いつも出発しないのに予約するお客さんだとか、やくざまがいのお客さんがいたりとか、本社や取引会社の説明不足や丸投げでお詫びするはめになったり。でも彼らあぽやんは、本社よりも、お客様重視で、お客様に笑顔で出発してもらえるように、粉骨砕身で頑張るんです。

 結構笑えることが多いのですが、とってもヒューマンで、そうそう空港ってそういうところだよねって、思うんです。それはいくら、コンピューターでなんでもできるようになっても、やっぱり旅に出るのは人間だから。Eチケや自動チェックインが導入されても、それがすべてではないんですよね。

 たしかに、大手の旅行会社の添乗を請け負っていた頃、関連子会社、空港所の所長と出向する人たちを見かけたし、どうみても所長じゃないけど、空港の仕事、長そうだっていう中年のあぽやんを見かけました。おおむね女の若いスタッフが多い中で、そう遭遇することは少ないけど、あぽやんって言うと彼らのイメージと重なるものがあります。 

 たしかに、旅行業は儲からないし、給料も良くないけれど(それを理由にして辞めて行った人も結構いるけど)、それでもそういう仕事を愛する人がここにもいるんだと思って。旅行業では、あぽやんも添乗員も最終ランナーで、誰かに代わってお客様に頭を下げなきゃいけない時も多い。悔しい思いをする時も多いけど、やっぱりお客さんにいやな思いで旅をしてほしくないというのがあるんですよね。”あぽやん”を読んで、ここにもそういう人がいたと思って、嬉しくなりました。(営業は営業で、ケチがついた旅行にならないように細心の注意を払って、仕事してこれも大変なんですが。)

 自分の仕事に誇りを持つということを、改めて感じた気がします。誇りを持って、仕事してる人はかっこいい!

 旅行業界に関係なくても、”あぽやん”は読んで楽しめるお話です。