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50歳のうめめだかが感じたことやオフタイムのこと、好きな物のこと、趣味etcについてひとりごつ。  SINCE 2005.7.12

アネキと呼ばせて!

Index_hibi_03_4 ちょっとした時間つぶしに山本文緒の『日々是作文』を買いました。

この本は1962年生まれの山本文緒さんの31歳からの10年間に書き綴ったエッセイをまとめたものです。彼女の生活、恋愛感、仕事等についてよく理解できる内容になってます。

いままで私は彼女の小説を意識するわけでなく、結構読んではいるものの、例えば『恋愛中毒』や『あなたには帰る家がある』などを読んでも、なんとなくスッキリしない暗さのようなリアリティがあって、「この人、陰気な人なのでは?」思っていたし(この本を読んだら、とても面白い人でした。スミマセン。)、彼女のエッセイは初めてだったのでどんな人かなーと思って、ふむふむと思いながら読んでましたが、最後のほうは朝の通勤の寝る間も惜しんで読んでました。

彼女は作家になんて全くなれると思っていなかったようです。昔はあまり本も読まない人だったらしいし、普通のOLもしていて、たまたま書いた少女小説が佳作に入りそこから小説を本格的に書くようになり、OLも辞め、離婚もした。そして直木賞受賞そして再婚も。唯一日記というのを継続的に続けてらしいけれど、その普通の人っぷりがとても親しみやすい。

彼女は私より11歳上で、私の一歩先を進むアネキのようである。他人なのに、すごーく共感できて、私の考えてることと同じだーと思うことばかり。(それは読まないとわからないと思いますが...)

私には実の姉が4つ上にいるけれど、同じ親から生まれた割には考え方も体質も体型もまったく違うタイプ。唯一電話の声が似ているといわれるぐらい。姉は22歳から家を出てしまったので、冷静に考えると私は4歳下だから18年しか一緒に暮らしてないわけで、子供のときは私には私の同世代のコミニティーがあったし、彼女には彼女のコミニティーがあったので、一緒に遊ぶこともなかった。家に寄り付かなかった彼女に子供ができて、よく実家に来るようになったので、まともに話すことが出来るようになったのはここ7,8年ぐらいな気がする。だから姉といっても、全く違うタイプ。

破天荒でフウテンだった姉もさすがに子供が2人もできて、少しまともになったけれど、私よりも数段楽観的で、短気で、ある意味素直で、いいやつなのだが、やっぱり考え方は全く違う。彼女の美辞麗句を並べないアドバイスに私は救われもするのですが...。

だから、何をいいたいかというと山本文緒さんのような考え方や生き方に共感のできるアネキがいたら、すごくいいだろうなと思ったわけです。買い物好きなところも似てるし。

エッセイの始めの部分である31歳の彼女は離婚したばかり、はじめはバイトをしながら、小説を書いて、2001年には直木賞受賞、再婚。30代からから40代への移行の時期って、なんだかその後の自分の人生のあり方を決める大切な時期なのかもしれないと思う。

作家のエッセイといえば村上春樹が『遠い太鼓』(←これについても書いてます。)というのを書いていたが、彼の場合、40歳を迎えるまでの3年間海外を中心に生活した時のエッセイをまとめたものだった。40歳っていうのはやっぱり1つの重要な通過点なのかもしれないと思う。

山本文緒さんがこのエッセイの中で書いているように、
”今、自分がしていることは、人に押しつけられたことだろうか。自分が選んでしていることではないだろうか。(中略)そう思えるようになって私は楽になった。”

そう!自分していることは、結局は自分で選んでいることなんだ。いつの間にかこうなってしまったではなく、常に自分は取捨選択して自分の道を選んでいるんだと思う。いやだったら、やらなければいいだけなんだ。なんだか、そんなことを考えさせてくれる本だった。

山本文緒さん、アネキと呼ばせていただきます。