Neutral 〜ニュートラル

50歳のうめめだかが感じたことやオフタイムのこと、好きな物のこと、趣味etcについてひとりごつ。  SINCE 2005.7.12

「マチネの終わりに」を読みました。

松の内も過ぎましたが、今年もどうぞ宜しくお願いいたします。

うっかり、いまこれを書きながら、鏡餅をおろしました。
それはさておき、年末年始に、友人から本をいただいた平野啓一郎著「マチネの終わりに」を読みました。読書家である彼女が薦めるものの、すこし半信半疑ながら読みましたが、とてもよかったです。

主人公はクラッシックギタリスト薪野聡史と、彼と偶然にリサイタルの後に出会った、フランスの通信社に勤務しパリ在住の小峰洋子。二人は、突然にして急激かつ偶然(損害保険の文言みたいですが)に、惹かれあってしまうのでした。

その後、偶発的な出来事や、ある意味裏切り的な行為により会う機会を悔しいくらいに失われ、お互いに心の中心で燻りながら、数年の歳月が過ぎていき、それぞれに結婚や子供をえたりして、日々が過ぎていくのでした。

実際のところ、数回しか会っていない二人ですが、歳月が流れても、共鳴しあう様子や、主人公ふたりと、またそれを取り巻く登場人物たち(特に洋子の父の映画監督ソリッチ)も静的でありながら、いずれも知的な人物が多く、興味深いです。

今年最初の読書でありながら、おそらく今年1番くらいに印象に残りそうな予感のする本です。

本書のあとがきに、助言者としても名前の出てくる、私が唯一CDを持っているクラシックギタリストの大萩康司氏のアルバムで、ブローウェルの作品を中心としたキューバ収録の「11月のある日」を久々に聴きながら、「マチネの終わりに」の世界を今日は振り返りました。
40代には、かなりお薦めかなと個人的に思います。

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