「マチネの終わりに」を読みました。
松の内も過ぎましたが、今年もどうぞ宜しくお願いいたします。
うっかり、いまこれを書きながら、鏡餅をおろしました。
主人公はクラッシックギタリスト薪野聡史と、彼と偶然にリサイタルの後に出会った、フランスの通信社に勤務しパリ在住の小峰洋子。二人は、突然にして急激かつ偶然(損害保険の文言みたいですが)に、惹かれあってしまうのでした。
その後、偶発的な出来事や、ある意味裏切り的な行為により会う機会を悔しいくらいに失われ、お互いに心の中心で燻りながら、数年の歳月が過ぎていき、それぞれに結婚や子供をえたりして、日々が過ぎていくのでした。
実際のところ、数回しか会っていない二人ですが、歳月が流れても、共鳴しあう様子や、主人公ふたりと、またそれを取り巻く登場人物たち(特に洋子の父の映画監督ソリッチ)も静的でありながら、いずれも知的な人物が多く、興味深いです。
今年最初の読書でありながら、おそらく今年1番くらいに印象に残りそうな予感のする本です。
本書のあとがきに、助言者としても名前の出てくる、私が唯一CDを持っているクラシックギタリストの大萩康司氏のアルバムで、ブローウェルの作品を中心としたキューバ収録の「11月のある日」を久々に聴きながら、「マチネの終わりに」の世界を今日は振り返りました。
40代には、かなりお薦めかなと個人的に思います。