Neutral 〜ニュートラル

50歳のうめめだかが感じたことやオフタイムのこと、好きな物のこと、趣味etcについてひとりごつ。  SINCE 2005.7.12

私の今年の夏の1冊

昨日、私の夏が終った...と思う出来事がありました。私にとっては悲しい出来事でした。簡単に言えば人との別れです。そこでふと思い出したのがこの夏ハワイで読んだ江國香織の『思いわずらうことなく 愉しく生きよ』でした。

200784_hawaii_001 ハワイにいる間にあっという間に読んでしまいましたが、習慣である感想文も書かずにいました。この夏は感想文もブログも書いている気持ちの余裕もないくらい、没頭してしていたことがあったし、この度の人との別れとも少なからず関係しているのです。

この小説はある3人姉妹のことが描かれています。長女が麻子、次女が治子、三女が育子。長女の麻子はDVの夫から離れられず、家族にもそれを隠す複雑な夫婦関係。治子はキャリアウーマンで仕事にも恋愛にも意志ははっきりしていて感情をストレートにだすタイプ。育子は他者との接点が体の関係本位だが、家族を大切にいつも思い昔からの家族の習慣を重んじるタイプ。父と母はすでに離婚していて、それぞれとの接点を持ちながらも成長とともに両親との微妙な距離感を感じてもいる。三人三様の悩みを抱えながら生きていて、でも3姉妹はすこぶる仲が良く、姉妹のためには親身に考え、全身でぶつかって行く力をも持っている。

麻子と同じようにDVに苦しめられている雪枝が育子になぜ3姉妹が強いのかを言った言葉に「家族に愛されると、人は強くなるのね」というセリフがあるが、たしかにそうなのかもしれないと思った。

そうこの3姉妹の犬山家の父が書いた家訓は”思いわずらうことなく 愉しく生きよ”なのだ。

この小説を読んで、3姉妹の内面に自分と一部重なる部分があったし、特に次女治子の変な潔さとまともそうなのに分裂しているところも自分にそっくりだった。私にとっても心地のよい言葉”思いわずうことなく 愉しく生きよ”。そう生きたいと思う。

私も大好きな人には、はなむけの言葉として”思い煩うことなく 愉しく生きて”と贈るでしょう。